パートの利用状況
一人分のワンセットがユニットケアである。
ただ、一人ずつだと介護のコストが高くなり過ぎるため、九人を限度に何人か一緒になってもらえればある程度効率化できる。
一種の複合家族のようなもの、それがグループホ−ムである報告書は、これからの社会の求めに応じた新しいタイプの介護モデルとして、これを第三分類と位置付けた。
大型で重装備の旧来型施設ではない、純粋な在宅介護でもない、その中間ということで第三分類と仮称される。
地域社会の包み込むような介護機能を重視することが植われているわけであるが、これは「安心ハウス」が目指すものそのものとも言える。
これからの介護のあり方としてはこうした方向にならざるを得ないことを、厚生労働省も認識しつつある。
各地の自治体は伝統的に補助金依存の傾向が強く、三年前に「安心ハウス」構想を推進した当初、多少の関心は示したものの、それほど熱意は感じられなかった。
ところが、その後急速に財政制約の厳しさが明らかになり、補助金依存には限界があるということがみえてきた。
各自治体とも高齢化が相当なスピードで進み、現状の補助金で運営している施設に入り切れない待機老人が各地で増えるようになり、民間活力の利用を考えざるを得ず、自治体の間で安心ハウスへの関心がにわかに高まり始めている。
民間事業者の中には「安心ハウス」と同様の事業を既に実施しているところがいくつもある。
例えば、東京に本社のある「日本アピリティ−ズ」杜(伊藤弘泰社長)は、補助金なしで月額利用料一八万円の施設を、企業の遊休施設等を活用して運営している。
入所金もほとんど取らない。
この会社はもともと利用者本位の介護機器や介護システムを開発・工夫してきた会社で、業績も良く、人々が安心して入れる住居とサービスを提供しようということで、首都圏中心に十数カ所で展開している。
岡山にあるメッセージという会社は、医療法人ならびに社会福祉法人の事業で培ったノウハウを活用して補助金なしのアミ−ユというブランドをつくり、岡山を中心に関西地方で六Oカ所ほど施設を運営している。
アミ−ユブランドの基本はグループホ−ムで、九人までの痴呆性老人を一ユニットにして、それを二、三ユニット組み合わせて最適化し、独自のサービスを展開していくものである。
同社では月額三万円の利用料で利益が出ているという。
管理者やホ−ムヘルパー、サービスマンを養成するシステマティックな制度も持っており、近代的な経営を目指している。
各地で安心ハウス建設への動きが始まっている。
北海道の伊達市では、「安心ハウス」そのものの複合型施設を企画、調査し、事業化にかかるという段階に来ている。
島根県の松江市や福井県の鯖江市も同じような方向のことを考えているなど、いくつもの自治体が実行段階に入り始めている。
一体どのぐらいこういう施設があるのかということであるが、安心ハウス型施設というのは定義からいってやや幅が広く、複合的である。
役所ではそれは必ずしも認可事業ではなく、補助金を出していないため掌握し難い面がある。
確かに現行法では「安心ハウス」という範曙は明文化されていないが、例えば有料老人ホ−ムで入居一時金をあまり取らないものはある程度該当する。
痴呆性老人の面倒をみるグループホ−ムは安心ハウスの要件を満たしている。
それから、社会福祉法人や地方公共団体が使第2章高齢者ケア・子育て支援サービスっている生活支援ハウスや、国土交通省支援の高齢者向け有料賃貸住宅、シルバーハウジング、ケアハウスも、安心ハウスの範曙にある程度入ると言える。
厚生労働省が、月額利用料二O万円未満とか入居一時金一OOO万円以下など、いくつかの条件の下で調査・集計したところ、二OO二年二一月時点で、有料老人ホ−ムでは一九九カ所、八九OO室、グループホ−ムでは二四六五カ所、二万八九五O人分、高齢者向け有料賃貸住宅では二六二三戸が、「安心ハウス」にある程度該当するという結果が得られた。
最も望ましい。
そうすれば整備のための制度的条件ができるから、全国の多くの市町村が安心ハウスをつくりやすくなる。
そこまで踏み込めれば、小泉政権の「明るい構造改革」はさらに一段と進むことになる。
社会保障関係の仕事に携わっている就業者は、一九七O年に一九六万人だったものが、二O増えたことを意味する。
政府(厚生労働省)は、高齢者ケア関連の雇用創出効果の試算として、保険給付額が厚生労73働省の「社会保障の給付と負担見通し」(二OO二年五月)の推計のように増加することを前提に、二Goo-二OO五年で五六万人、二OO七年までには七八万人雇用が増加すると見込んでいる。
これは高齢者ケア関連の雇用の全部を見込んだ数字だが、「安心ハウス」はその中で重要な役割を果たすことが見込まれる。
安心ハウスが普及した社会のイメージは次のようなものになる。
家が密集している大都会は例えば五OO世帯に一軒、家の少ない田舎は二OO世帯に一軒の安心ハウスがある。
スープの冷めない距離におじいちゃん、おばあちゃんがいて、お医者さんや看護師さん、ヘルパーさんなどの専門家に面倒をみてもらっている。
そうなれば家族は安心だし、近いからいつでも会いに行ける。
しかも施設整備に公的経費はかからないし、民間の運営で多少の利益が出る。
その場合にひとつ問題なのは、日本の家族に介護についてのHお嫁さん文化H とも言うべきものがあることだ。
つまり、完全なお嫁さんでないといけないという雰囲気、自分や夫の親を施設に入れることに対する一種の罪悪感という問題である。
だから自宅介護で頑張り、家族もろとも崩壊することになる。
介護というのは本来、家族がすべて担うには重過ぎる。
家族がやると、例えば奥さんが仕事を辞めなければならなかったり、趣味や旅行ができなくなったり、近所で起きるトラブルで心身症になったりするなどの問題が起きる。
プロに任せれば、トラブルはすべてそうした問題の解決のための技術革新の基になり、雇用と所得が生まれ、新産業ができるというわけで、むしろメリットが多い。
親が崩れていくのをみることは、親も大変だが家族もたまらない。
実際、介護に疲れて、いっそのこと死んでくれればなどと思わなかったと言えば嘘になるといった手記などが少なくないが、そんな苦しいことばかり経験させてはいけない。
フロに任せられるところはプロに任せるのが良い、と皆が考えるようになる文化大革命が必要だ。
愛はいいとこ取り東京の大田区大森にある京浜会の京浜病院院長の熊谷頼佳氏が、私に、「愛はいいとこ取り」ということを教えてくれた。
つまりHお嫁さん文化H を超えなければいけない。
自分がいやなところまで面倒をみるというのは本当の愛ではない。
おじいちゃん、おばあちゃんの機嫌の良いときに、「マツタケいただきましたよ」と訪ねると、うちの嫁は天使みたいだと言ってくれる。
孫がテストで満点を取ったときだけ行けば、自分のDNAはすごかったのではないかと思って、ハッピーになってくれる。
ご機嫌の悪いとき、体の調子の悪いときはプロに任せた方がいい。
本当の愛は、家族に心配させることのない高齢者ケアのハードウェア、下部構造をつくること、つまり「安心ハウス」のような受け皿を整備することだ。
介護は家族が無理してやるよりも専門家に任せるべきである。
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